人工知能の全貌に迫る!人工知能の活用事例10選

WRITER : 野田 勝

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人工知能といえば、映画「ターミネーター」に代表されるような、人格を持ったようなものを想像する人も多いだろう。一方で、最近では家電製品でも人工知能を謳うものが出てきたり、就職活動の面接を人工知能が担うなど、人工知能という言葉が指すところは幅広く、その活用用途も多岐にわたる。

そこで今回は、東京大学大学院工学系研究科准教授の松尾豊氏の著書「人工知能は人間を超えるのか〜ディープラーニングの先にあるもの〜」に基づき、人工知能分野全体を俯瞰して説明したい。

 

人工知能の専門家が語る人工知能とは

image03 引用:「人工知能は人間を超えるのか〜ディープラーニングの先にあるもの〜」

前述の松尾豊氏は、自身の著書「人工知能は人間を超えるのか〜ディープラーニングの先にあるもの〜」の中で、人工知能を「人工的に作られた人間のような知能」と定義している。「人間のような知的とは、”気づくことができる”コンピュータ、つまり、データの中から特徴量を生成し、現象をモデル化することのできるコンピュータという意味である」という。

▼参照

「人工知能は人間を超えるのか〜ディープラーニングの先にあるもの〜」

 

成熟度に基づく人工知能の4つの段階

また、同氏は同著の中で、一般に人工知能を謳って普及しているものは、その程度によって以下の4段階に分けられるという。

レベル1:単純な制御プログラム

最近では、人工知能搭載のエアコンや洗濯機などを時折目にする。これらは実は制御工学やシステム工学といった分野であり、単にマーケティング的に人工知能を名乗っているに過ぎず、単純な自動制御プログラムのことを指すことが多い。

例えばエアコンに搭載された人工知能は、エネルギー消費量や室温などのデータを収集し、省エネルギーの自動制御運転を行う。

 

レベル2:古典的な人工知能

2012年に将棋の名人が人工知能に敗れた、というニュースを記憶している方も多いのではないだろうか。この種の人工知能は、入力と出力を関連づける方法が洗練されており、振る舞いのパターンが極めて多彩である。このレベルの人工知能は、推論や探索をおこなったり、大量の知識ベースを蓄えたりしている。

将棋の例のように、分野によっては、既に人間の能力を超越しているケースも存在する。

 

レベル3:機械学習を取り入れた人工知能

機械学習とは、サンプルデータを元に機械がルールや知識を自ら自動的に学習するモノを指す。このレベルの人工知能で代表的なものには検索エンジンが挙げられる。

検索エンジンは、ウェブサイト内に使用されているキーワードからそのサイトの特徴を認識し、学習することで、質の低いコンテンツや、有害コンテンツを見分けて表示のランクを下げている。その結果、検索エンジン全体が最適化されている。

 

レベル4:ディープラーニングを取り入れた人工知能

ディープラーニングとは、機械が物体の特徴を自力で学習することができる技術のことを指す。

ディープラーニングに関しては、以下の連載記事で詳しく解説しているので参照して頂きたい。

▼参照

第1回:【連載企画】今世界で注目を集める「ディープラーニング(Deep Learning)」とはなにか

第2回:【連載企画】やさしく分かるディープラーニング(Deep Learning)の成り立ちと歴史

第3回:【連載企画】世界の超巨大企業が取り組むディープラーニング(Deep Learning)開発

第4回:【連載企画】ディープラーニング(Deep Learning)開発を行う海外スタートアップ3選

第5回:【連載企画】AI・ディープラーニング(Deep Learning)に関する3つの未来予測

最近はGoogleやFacebook、中国のBaiduなどが専門家を招聘して独自の研究所を設立したり、関連の研究を行うスタートアップを買収するなど、ディープラーニングは注目の分野である。

 

人工知能の活用事例

人工知能の活用事例はゲームから医療まで幅広い。人工知能の有名な活用事例には以下のようなものがある。

 

【将棋】人工知能のプログラムが名人棋士を敗る

image08 引用:電王戦

前述のように、2012年には、人工知能を搭載したコンピュータ将棋プログラム「ボンクラーズ」に敗れている。その後毎年「将棋電王戦」と称して、人工知能とプロ棋士の戦いが繰り広げられているが、2014年はプロ棋士5人でわずか1勝しかできないなど、将棋に関して言えば、人工知能はすでに人間を超越したといってよいだろう。

 

【オペレーションサポート】銀行や保険会社では既に導入が進む

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IBMが開発している人工知能のワトソンは、既に国内外の銀行や保険会社のコールセンターでの実用化が進んでいる。人工知能が音声認識を行って会話の内容を文字ベースで記録するほか、顧客の声をリアルタイムで解析し、顧客の課題を突き止め、その回答の手助けとなる情報を、オペーレーターの手元に表示する。

 

【クイズ番組】人工知能が難問をクリアし、全米チャンピオンに勝利

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引用:IBM JapanFacebookページ

同じくワトソンは米国のクイズ番組「Jeopardy!」に出演し、人間のチャンピオンに勝利している。ワトソンは与えらた文章の意味を分析し、大量の文書の中から質問への解答の候補と、その根拠を洗い出す。そして、各解答の確信度を計算して、最も高い数値を得たものを返すという仕組みになっている。

実際に番組では「米国が外交関係を持たない世界4カ国の中で、最も北に位置する国」という問いに対して、「北朝鮮」という解答を行った。

▼関連記事

【連載企画】クイズ王を破ったIBMの人工知能「ワトソン」が、今度は三ツ星シェフに?

【医療】膨大な医学的根拠を元に正確な診断を下す

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人工知能は医療の分野での活躍も期待されている。例えば医学雑誌や最新の論文データ、臨床医療のデータを取り込み、数十万件に及ぶ医学的根拠を学習した人工知能が実現できれば、経験豊富なベテラン医師よりも正確な診断を下せるようになる。

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機械学習技術が命を救う!IBMが皮膚癌の早期発見技術を開発

 

【大学入試】人工知能が東大入試に挑むプロジェクトが進行中

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引用:東大ロボットプロジェクト

活用事例とは少々異なるかも知れないが、人工知能を用いてロボットを東京大学に入学させるというプロジェクトが2011年から進行している。この人工知能は、2014年のセンター模試では、すでに全国の私立大学の8割に相当する472大学において、合格可能性80%のA判定を獲得している。人工知能が日本の大部分のエリートの知能を超える日がやってくるのは、そう遠いことではないだろう。

▼参照

東大ロボットプロジェクト

 

【自動運転】ディープラーニングを活用した画像認識技術で自律走行を実現

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引用:Conducción inteligente de la mano de Nvidia

人工知能は自動運転にも活用されている。アメリカ合衆国カリフォルニア州にある半導体メーカーのNvidia Corporationは、自動運転の開発プラットフォームを発表している。ディープラーニング技術と画像認識機能と組み合わせる事で、救急車と配送トラックといった車種の違いや、駐車中の自動車が発進しようとしているかどうかを見分けるなど、まるで人間が目で見て判断をしているようなことができる。その結果、状況の微妙な違いに対応する自律走行が実現できる。

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自動運転自動車の未来を拓くコンピュータ「NVIDIA DRIVE」の性能に迫る

 

【ロボット】ソフトバンクのペッパーは感情エンジンを搭載

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引用:ソフトバンクグループ

ソフトバンクが開発しているロボット「Pepper(以下ペッパー)」は、人工知能を搭載していることで話題を呼んでいる。ペッパーは感情エンジンと呼ばれる人工知能を搭載しており、人の感情を読み取ることができるため、ユーザーの悲しみに共感したり、喜びを分かち合ったりすることができる。

▼参照

ソフトバンクグループ

【検索エンジン】機械学習によって検索エンジンを最適化

引用:Google

インターネットの検索エンジンにも人工知能が活用されている。ウェブサイト内に使用されているキーワードからそのサイトの特徴を認識し、学習する。その結果、質の低いコンテンツや、有害コンテンツを見分けて排除することで、検索エンジン全体が最適化され、ユーザーがより便利に必要な情報を探し当てることができるようになっている。

 

【ネット広告/RTB】人工知能が広告枠への入札を瞬時に判断

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引用:FreakOut

近年、アドテクノロジーと呼ばれる分野の発達が著しく、ネット広告の最適化も進んでいる。その中でも、RTB(RealTimeBitting)と呼ばれる技術は、人工知能を用いて1000分の1秒単位で広告の枠に対する競売を行うことで広告表示の最適化を行っている。ユーザーのページ閲覧履歴などに基づいて推定されたユーザー属性を元に、その競売に参加するか、いくらで参加するのかといった判断を人工知能が瞬時に行うのである。

 

【金融】人工知能による高速トレードは全取引の90%を占める

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金融の市場では、かなり前からコンピュータによる取引が人間による取引を上回っている。高頻度取引と呼ばれる取引方法では、コンピュータを用いた自動売買によって確実に利益を生み出すことができる。例えば、同一の会社の株に対し、米国市場と英国市場で一瞬でもズレが生じた場合、安い方の市場で購入し、高い方の市場で売りに出せば、確実に利益を生むことができるのだ。この株購入/売却の判断は人工知能が担っている。

 

人工知能が人間を超越する日は来るのか

ここまで紹介してきたように、人工知能の活用範囲は広く、分野によっては既に人間を超越しているものもある。ディープラーニングに代表されるように、人工知能は既に自身で思考する所まできている。シンギュラリティ(技術的特異点)という、人工知能が自身で、自分より賢いプログラムを自分で生み出す時が訪れるのではないか、と懸念する声も多い。GoogleやFacebook、Baiduなど、世界的な大企業が莫大な資金を投入して研究を進めている分野だけに、いつかはSF映画の世界が実現するのではないだろうか。

しかしながら、イーロンマスクが「人工知能は悪魔を呼び出すようなもの」であると語っているように、その開発には慎重になる必要がある。技術の開発を進めつつも、人工知能開発に関する倫理観に関して同時進行で考えていかなければならない。機械と人間は上手く役割分担をし、共存していきたいものである。

 

▼関連記事

第1回:【連載企画】今世界で注目を集める「ディープラーニング(Deep Learning)」とはなにか

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