iBeacon導入前にマーケティング担当者が確認すべき5つの課題

WRITER : 朴 泳虎

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iBeaconは救世主かもしれないが、万能ではない

「iBeacon(アイビーコン)」とは、AppleのiOS7から搭載された、Bluetoothを利用した新しい無線技術である。iBeaconを利用すれば、iPhoneやiPadなどデバイスを持った人の「位置」や「方向」を把握できる。また把握した位置情報に合わせた、メッセージやデータを顧客のスマートフォンに送信することができる。

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引用:Estimote

▼さらに詳しく知りたい方はこの記事をチェック
これだけ知っていれば大丈夫!O2O・オムニチャネルマーケティング担当者に必要なiBeacon知識まとめ

iBeaconは、これまで精度やコストの問題で取得できなかった店舗内のデータを取得することができるということで大きな期待を寄せられている。しかし、忘れてはいけないのは、NFCが登場した当時と同様に、iBeaconを使えば従来の全ての問題が解決するという訳ではないということである。

アメリカのマーケティングリサーチ会社 Volvo Force創業者 兼 COOのSam Bahreini氏はForbes の中でこう指摘している。

「iBeaconを活用することで、我々は顧客に合わせて関連性の高いメッセージや広告をリアルタイムに送ることができる。この効果は計り知れない。しかし、iBeaconはあくまで既存のマーケティング手段を補完するものと考えるべきである。顧客へのリアルタイムターゲティングを可能にするためには、幾つものハードルを乗り越えなければならない。それらを理解して初めて、iBeaconマーケティングを効果的に行うことができるだろう。」

Sam Behreini氏の言う「幾つものハードル」と例えられているiBeaconマーケティングが抱える5つの課題について整理をしてみよう。

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iBeaconが克服すべき5つの課題

1. 顧客がそもそもBluetoothをオンにしていない

スマートフォンのバッテリー容量は拡大の一途をたどっているし、Bluetooth Low Energy(以下、BLE)などの発明により、Bluetoothの消費電力も以前と比べ物にならないほど下がっている。それでもバッテリー節約のためにBluetoothをオフにしている人が多いのも事実だ。まずは、導入担当者はBlootoothが実際にオンになっている人が現在、どのくらいいるのかを理解しよう。

 

2.顧客がそもそもメッセージに注意を払っていない

皆さんは、常日頃送られてくるプッシュ通知にどのくらい興味を示しているだろうか。顧客にとってお得な情報であると思ってもらえなければ通知がたまった後に一斉削除されてしまうだろう。メッセージのタイミングやコンテンツに細心の注意を払う必要があることは理解しておくべきだろう。

 

3.顧客がアプリをダウンロードしない

iBeaconをフルに活用するためには、顧客にアプリをダウンロードしてもらうことが必須である。しかし、アプリストアを起動して、アプリの名前を検索欄に入力して、アプリをダウンロードして、見慣れない画面を操作するのは結構な労力になる。アプリをダウンロードするのはどうしても手間がかかる。アプリをダウンロードしてもらうためには、顧客にダウンロードという高い壁を登る労力よりもアプリが提供する価値が高いと感じてもらう必要がある。

 

4.顧客がプッシュ通知に嫌悪感を持ちはじめる

これはまだ問題として顕在化していないが、多くの人のメールボックスのように関係ないメッセージがスパムのように雪崩れ込んできたら顧客は見るのをやめるか、アプリを削除してしまうだろう。通知の送信側は、送信するメッセージやコンテンツが顧客にとって関連があり、価値があるのかを慎重に吟味する必要がある。

 

5.全ての顧客がiPhoneを使っている訳ではない

当たり前だが、スマートフォンを持っていないユーザーにプッシュ通知を送ることはできない。また、iBeaconは現在、Appleソフトウェアにしか対応していないのでAndroidユーザーはフォローし切れていない。確かに日本は70%のスマホユーザーがiPhoneを持っているiOS大国であるが、スマートフォンユーザーの割合は55.2%、日本全体で見てiPhoneユーザーは38%。当然、残りの62%を無視する事はできないし、セグメントによってはこの数値は大きく変わる。

 

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iBeaconマーケティングで失敗しない方法は、顧客の立場に改めて立つことである

これらの課題に対して、考えられる対策は以下の通りである。

1. 顧客がBluetoothをオンにしていない

まず思いつくのは、店舗全体で目に付く看板やポップなどでBluetoothをオンにするように促すことだろう。顧客にとって非常にメリットがあり、BLEを使えば電力をほとんど消費しないことを伝えれば、これを解決することはそれほど難しくないだろう。また、サービス提供事業者からも自社サービス紹介サイト等で、Bluetoothをオンにしてもらう啓蒙活動は必須だろう。

 

2.顧客がそもそもメッセージに注意を払っていない

まずは、プッシュ通知が顧客にとって興味のあるものだと理解してもらうことが重要である。つまり、プッシュ通知の認証を許可される時点でどのような情報がプッシュ通知で送られてくるのかある程度、顧客に知っておいてもらう必要がある。アプリの説明文の中に、発信する情報の具体的な内容、特にメリットを書いておいた方が良いだろう。

 

3.顧客がアプリをダウンロードしない

この問題の解決策は難しいが、解決策は基本的には2つのアプローチに大別される。

1つはアプリインストールの手間を極力減らす事。QRコードを読み込むだけでダウンロードページに飛べたり、会員登録が必要なかったりといった工夫が必要になる。まずは、登録をして貰い、徐々に情報を加えてもらうストーリを作るべきだろう。

2つめはアプリが提供する価値を高める事。アプリをインストールする手間を遥かに上回るメリットを与えることが出来れば、顧客は自らアプリをダウンロードする。現在のiBeacon系サービスには、ここを上回るだけの利便性が足りていないのかもしれない。

 

4.顧客がプッシュ通知に嫌悪感を持ちはじめる

この問題については、これまで多くのアプリケーションが直面し、克服してきたプッシュ通知の最適な配信タイミング、最適な配信コンテンツを見習いながら、トライ&エラーを繰り返して、適切なメッセージ量などを試す必要があるだろう。誰がどの広告をどのぐらい見てどのように反応したか、といったデータを収集して地道に最適解を探っていくしかない。

 

5.全ての顧客がiPhoneを使っている訳ではない

特定のセグメント向けのプロモーションだと割り切ってしまうのもひとつの手だろう。対象セグメントに応じてプロモーションチャネルを変える必要があるのは自明である。もしくは、店舗内に誰でも利用できるスマートフォン端末を幾つか用意しておくのも良いかもしれないが、こちらは実効果が測りづらいと評判はあまり高くはない。とにかく、まだ始まったばかりの試みのため、今後検討していく必要があるだろう。

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引用:Estimote

 

iBeaconを活用したインストアマーケティングが実現する未来

上記の2つの観点を参考にしながら、国内で実際にiBeaconを活用したインストアマーケティングが浸透するための、今後の重要な2つの方針を示してみる。

 

①スマートフォンなどの顧客のデバイスに依存しない方法での、データの取得及びメッセージ配信が必要である。

何か特定のデバイスが必要というのは企業側にとっては非常にコントロールが難しい。スマートフォンなどの特定のデバイスに依存しない方法で、データを取得してそれに基づいたメッセージを配信できる仕組みが将来的に求められてくる。画像解析技術を使った全方位データ取得であったり、全員が常に持ち歩く物を活用したデータ取得(いわゆるIoT)と取得したデータに連動した街頭サイネージを組み合わせたサービスは近い未来で登場するだろう。

 

②売上や人数等の数字に現れない顧客との関係性に着目したマーケティングを考える必要がある。

センサリングデバイスを応用したマーケティングの本質は、顧客の位置情報などのデータから見えてくる数値化しにくい状況や嗜好性を読み取りながらコミュニケーションを取れる点にある。つまり、いかに顧客が何を求めているのかを適切に理解して、最適なコミュニケーションを取れるのかが重要となる。そのためには、売上以外のこれまで数値をして現れていなかった顧客の感情、属性などを分析する必要があることを示している。

徐々に浸透しつつあるiBeaconの先に見えるハイコンテキストな小売店舗の姿は、長らくアナログと言われていた小売業に革命を起こすことは間違いない。変化を続けるリテールテクノロジーから、今後も目が離せない。

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