【連載企画】シンガポール・オランダ・インドの海外事例から読み解く世界のスマートシティ動向

WRITER : 楠富 智太

  最新テクノロジー

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • follow us in feedly

1431-double-block-ca8281251a70f83e54e07c9ad01221f2-van-en-voor-de-samenleving-2+770x433

引用:Amsterdamsmart City

連載第一回目となった前回は、「スマートシティとは何か」について紹介した。連載二回目の今回は、国外に目を向けて、海外のスマートシティ事例を紹介する。

前回の記事で述べていたように、スマートシティとは「市民の生活の質を高めながらも、環境負荷を抑えつつ健全な経済活動をうながすことで、さらなる成長を続けられる新しい都市の姿」のことを指す。世界各国では最先端のテクノロジーを活用して、スマートシティ建設を行い、環境問題やエネルギー問題の解決に取り組んでいる。今回は、数ある海外事例の中から、シンガポール、オランダ、インドのスマートシティへの取り組みを紹介する。

第1回:【連載企画】世界の最先端ICT技術が結集!未来型都市「スマートシティ」とは?

第2回:【連載企画】シンガポール・オランダ・インドの海外事例から読み解く世界のスマートシティ動向

第3回:【連載企画】日本のスマートシティプロジェクトから持続可能な未来を考える

第4回:【連載企画】最新テクノロジーで夢のスマートシティを実現する先端企業5選

第5回:【連載企画】スマートシティの未来に関する3つの予測

センサーを張り巡らすシンガポールのスマートシティ構想

8583847569_4e2c323dc1_b

シンガポール共和国(以下、シンガポール)は、国民が暮らしやすい街をつくろうと「Smart Nation」というビジョンを掲げている。これは国土の至るところにセンサーを設置することで、リアルタイムに街灯、自動車のスピード、人通り、気象・環境といったさまざまなデータを集約・活用し、安全で暮らしやすい国をつくるというものである。

具体例として、パナソニックが主導で取り組んでいる、タクシーのモニタリングシステムが挙げられる。これは、タクシー待ちの行列の長さをビデオでモニタリングして、タクシー利用者に待ち時間を知らせるというものである。そうすることで、市民や観光客は移動手段を選択しやすくなり、タクシー会社はより多くのタクシーを必要とする場所を知ることができる。

このようにシンガポール政府は、民間企業と連携して「Smart Nation Platform(SNP)」というデータ活用基盤を作り、今回紹介したタクシーの事例以外にも、便利で安全な交通、物流、エネルギー供給、ヘルスケアなどのサービスの実現を目指している。

▼参照

シンガポール「Smart Nation」

▼関連記事

iBeaconでジョギングを促進!?シンガポール最新事例

ビッグデータを活用したオランダのスマートシティ構想

sm110906_03

引用:Amsterdamsmart City

オランダ王国(以下、オランダ)は、2009年からスマートシティ建設の取り組みとして「アムステルダム・スマートシティ・プログラム(ASC)」を開始している。これは官民一体となって、2025年までにCO2排出量を1990年比40%削減を目指す大規模なプロジェクトだ。同プログラムでは、スマートメーター、ビルエネルギー管理システム、電気自動車事業など、環境、エネルギー技術を中心として、これまで20を超える試験事業が行われてきている。

この取り組みでは、上述の環境・エネルギー事業に加えて、公共サービス、健康医療、農業などにスマートシティの領域を拡大させると同時に、ビッグデータの活用による社会課題の解決も行われている。

2013年に治水・防災対策の分野で、オランダ国土交通省の水運管理局とデルフト工科大学、IBMが連携し、雨量や気候といった環境に関するビッグデータを収集・分析する「デジタル・デルタ」プロジェクトを開始している。オランダは洪水被災リスクの高い低地帯を多く抱えており、災害のリスクを低減するため、水路や運河の設計及び建設、それらの維持管理の効率化を図るのが目的だ。

具体的な取り組みとして、水源に検知器を取り付け、気象データと、水路や運河の維持管理データを同時に分析する事で、大雨時に氾濫を予測できるようになった。

オランダは800年の伝統を持つヨーロッパ有数の商業都市アムステルダムを再構築し、エネルギー利用の効率化や国民生活の質の向上を図っている。

▼参考

アムステルダム・スマートシティー・プログラム(ASC)

▼関連記事

ビッグデータを活用し、スマートハウスの未来を彩る最新デバイス3選

慢性的な電力不足を解決するインド100都市のスマートシティ構想

india-smart-city2

引用:CNN.co.jp

インド共和国(以下、インド)では、昨年5月に就任したモディ首相が大規模なスマートシティ建設計画を掲げている。

一般社団法人海外電力調査会のデータによると、インドは社会近年急成長を遂げる国として注目を集める一方で、社会インフラが不安定で、安定した電力供給ができず、停電が頻繁に起こる、などの課題を抱えている。また、インド全体の25%の地域は、未だ無電での生活を強いられているなど、インフラの整備が急務となっている。

モディ首相は州首相時代に、グジャラート州の送電と料金徴収のシステムを改善し、電力セクターを改革したという実積をもつ。改革の結果、頻繁に停電が起こるというインド特有の課題を解決し、電力の安定供給を実現した。

同首相はグジャラード州での電力改革を全インドに広げるべく、最先端のテクノロジーで社会インフラを整備したスマートシティを、今後20年から30年スパンでインド国内100カ所に建設する計画だ。日本との共同事業である「デリー-ムンバイ間産業大動脈(DMIC)」もスマートシティ計画の一環で、約11兆円の規模で着手されている。

今後、モディ首相のスマートシティ構想がインドの電力事情を解決できるかどうかに、国内外から高い関心が集まっている。

▼参照

インドで進むスマートシティー構想

全世界2000の地域でスマートシティ計画が進行中

IT(情報技術)を駆使して、エネルギー、上下水道、交通など社会インフラの整備・運用を効率化するスマートシティの取り組みは全世界に拡大している。株式会社日本総合研究所の報告によると、スマートシティを推進している地域は全世界で2000にも上り、主立ったプロジェクトだけでも400を数えるという。近年環境問題やエネルギー問題がグローバルな課題となっており、テクノロジーでこうした課題を解決していこうという機運は今後も高まっていくと推察される。

次回連載の第3回では国内のスマートシティ事例を取り上げ、世界でも有数の高いスマートグリッド技術を誇る日本国内の先進的な事例をお伝えする。

第1回:【連載企画】世界の最先端ICT技術が結集!未来型都市「スマートシティ」とは?

第2回:【連載企画】シンガポール・オランダ・インドの海外事例から読み解く世界のスマートシティ動向

第3回:【連載企画】日本のスマートシティプロジェクトから持続可能な未来を考える

第4回:【連載企画】最新テクノロジーで夢のスマートシティを実現する先端企業5選

第5回:【連載企画】スマートシティの未来に関する3つの予測

 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • follow us in feedly

各種お問い合わせはこちらから

  • マーケティング資料請求
  • お問い合わせ
  • 会社資料請求

あなたにオススメの記事

  • 人工知能の全貌に迫る!人工知能の活用事例10選

  • 今、数々のファッションブランドが飲食業界への参入を急ぐ理由

  • シリコンバレーの大企業が注目するグラフデータベースとは?その魅力に迫る!

  • どうなる3Dプリント業界? "幻滅期"を抜け出すカギはどこにあるのか

  • 【連載企画】今世界で注目を集める「ディープラーニング(Deep Learning)」とはなにか

  • 【連載企画】いま、ファッション業界でIT革命が起きている

  • シリコンバレーの天才達が土日も休まず働く理由

  • もし桃太郎が現代のWebマーケティングで鬼退治をしたら