【連載企画】日本のスマートシティプロジェクトから持続可能な未来を考える

WRITER : Editorial department

  最新テクノロジー

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • follow us in feedly

前回第2回記事では、海外のスマートシティ先進事例として、シンガポール・オランダ・インドの例を紹介した。今回はスマートシティ連載記事第3回として、スマートシティの国内事例を紹介する。

日本においても経済産業省の「次世代エネルギー・社会システム実証事業」、総務省の「ICTスマートタウン構想」、内閣府の「環境未来都市構想」など、政府が関わる形でスマートシティ構想の実証実験が行われ始めており、スマートシティプロジェクトは国家規模の取り組みとなっている。

今回は日本の数あるスマートシティプロジェクト都市の中から、けいはんな学研都市、柏の葉、豊田市の例を紹介する。

▼参照

Japan smart city portal

ICTを活用した新たな街づくり

環境モデル都市・環境未来都市

第1回:【連載企画】世界の最先端ICT技術が結集!未来型都市「スマートシティ」とは?

第2回:【連載企画】シンガポール・オランダ・インドの海外事例から読み解く世界のスマートシティ動向

第3回:【連載企画】日本のスマートシティプロジェクトから持続可能な未来を考える

第4回:【連載企画】最新テクノロジーで夢のスマートシティを実現する先端企業5選

第5回:【連載企画】スマートシティの未来に関する3つの予測

けいはんな学研都市は先進的な電力受給システムをモデル化し、海外への輸出を目指す

outline_img01

けいはんな学研都市(正式名称:関西文化学術研究都市)は、京都府、大阪府、奈良県の3府県8市町にまたがる丘陵地域に位置し、大学や企業、国際電気通信基礎技術研究所(ATR)や国立国会図書館関西館などの研究機関が数多く立地している。また大規模な宅地開発も進んでおり、住民を交えた実証実験を行うのに最適なフィールドである。

この地域では、地域のエネルギーを統括する地域エネルギー・マネジメント・システム(CEMS)を中心として、地域内のエネルギーの需給バランスをコントロールしている。住宅やビルのエネルギー需給を管理するシステムや、電気自動車(EV)充電管理システムを、地域エネルギー・マネジメント・システムと連動することで、地域全体で最適な電力の配分を実現している。

これらの実証実験が成功したことで、このモデルを「けいはんなエコシティモデル」としてビジネス化し、東北地域への復興に役立てたり、海外諸国への展開していくことを目指している。このように、日本で成功を収めたスマートシティの先進事例をモデル化し、モデルごと海外へ輸出されるケースが増えていくことが期待されている。

柏の葉スマートシティは公民学の連携で未来都市の建設を推進

スマートシティ

参照:www.mitsuifudosan.co.jp

2012年11月に「ICT 街づくり推進事業」のモデル都市として選定された千葉県柏市にある柏の葉地区は公共×民間×大学の”公民学”が連携して、スマートシティ構想への取り組みが行われている。

柏の葉地区のスマートシティ構想の軸となっているのは、「環境共生都市」「新産業創造都市」「健康長寿都市」という3つのキーワードである。

1つ目の「環境共生都市」というキーワードのもと、分散電源により電力を地域で融通するスマートグリッドの構築や、太陽光・風力などの再生可能エネルギーの利用、自転車シェアリングやEVカーシェアリングの普及を通じて、「省エネ・創エネ・蓄エネ」システムの形成を目指している。

2つ目の「新産業創造都市」は、東京大学やベンチャー支援組織であるTX アントレプレナーパートナーズらの主導により、学術・研究機関やインキュベーション施設を活かした新産業の創出を目指すものである。

3つ目の「健康長寿都市」では、予防医療を基本とする医療ステーションの設立、リストバンド型ライフレコーダーなどによる健康管理の推進、健康増進プログラムの普及などを通じて、超高齢化社会に対応した街づくりが目指されている。

このように柏の葉スマートシティでは、地域内でのエネルギー需給のコントロールといった、従来国内で考えられてきたようなスマートシティの概念を超えて、公民学の連携による新産業の創造や、高齢化社会に対応した街づくりが行われており、本当の意味での住みやすい未来都市の建設が進められている。

▼参照

http://www.kashiwanoha-smartcity.com/

トヨタ自動車のお膝元豊田市は電気自動車を中心としたスマートシティ構想を展開

toyota_04_1

引用:http://jscp.nepc.or.jp/article/jscp/20121102/328990/

愛知県豊田市は、経済産業省が推進する、低炭素社会システム実証プロジェクトに取り組んでいる。低炭素社会システム実証プロジェクトとは、再生可能エネルギーや、各種省エネ機器の普及が進んだ10年後の家庭環境を想定したプロジェクトである。豊田市は同プロジェクトの中で、近未来的なスマートシティを実現するために、いくつもの実証実験を重ねている。

乗り捨て型の電気自動車シェアリングシステム「Ha:mo」を展開

トヨタ自動車が拠点を構える豊田市では、トヨタ自動車が次世代型カーシェアリングサービス「Ha:mo RIDE(以下ハーモライド)」を運営している。ハーモとは小型の電気自動車で、ユーザーは好きな場所でハーモに乗り、目的地付近のステーションでハーモを乗り捨てることができる。ステーションは現在豊田市内の主要駅など全22カ所に設置されている。

乗り捨てられる電気自動車のカーシェアリングは、環境に優しい次世代の都市交通システムとして期待されている。

地域の電力需給に応じて電気自動車の充電を最適化

スマートシティの重要な要素の1つに電気自動車の普及がある。豊田市では電気自動車(EV)の充電設備が充実しているだけでなく、地域の電力需給に基づき電気供給を制御する実証実験を行っている。具体的には、電力の使用が集中するピーク時間帯を分散させる事を目的として、ピーク時間帯には電気自動車に充電できる電力の上限を設定する。上限を超えた分はピークカットを行った結果、電力のピークを低減する事に成功した。一度発電した電気は貯めておく事ができないため、ピーク時の電力使用量が多いと、その分多く発電しなければならない。ピーク時に必要な電力を低減することで、地域全体で必要な総電力を計画的に抑えている。

地域の電力需給予測をもとに低炭素化と電力使用の平準化を行う仕組みを構築

前述のように、電力のピークを低減する事で、発電する総電力を抑える事ができる。豊田市は、地域の仮想の電力価格をグラフ化して可視化することで、住民にピーク時の電力消費を抑えるように促している。電力の利用が集中する時間帯には、仮想の電力価格を高く設定する事で、住民の電気使用を抑制し、緊急ではない電力消費はピークを避けた時間に行ってもらう狙いである。

▼参照

Japan Smart City

持続可能な社会を目指して実証実験を続ける日本のスマートシティ構想

今回紹介した都市の他にも、横浜市や北九州市など、先進的なスマートシティプロジェクトに取り組んでいる都市はある。それぞれの都市がコンセプトを持って実証実験に取り組み、持続可能な社会の実現を目指している。日本は高度成長期時代に深刻な環境汚染を犯し、数々の公害を引き起こすなど、地球社会に対して取るべき責任は大きい立場にある。従って、今後成長が予測される新興諸国に先駆けて持続可能なスマートシティのモデルを構築し、そのモデルを輸出する形で、地球社会に対して貢献していかなくてはならない。

次回連載の第4回ではスマートシティの実現に関わる企業を紹介する。

▼連載記事

第1回:【連載企画】世界の最先端ICT技術が結集!未来型都市「スマートシティ」とは?

第2回:【連載企画】シンガポール・オランダ・インドの海外事例から読み解く世界のスマートシティ動向

第3回:【連載企画】日本のスマートシティプロジェクトから持続可能な未来を考える

第4回:【連載企画】最新テクノロジーで夢のスマートシティを実現する先端企業5選

第5回:【連載企画】スマートシティの未来に関する3つの予測

 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • follow us in feedly

各種お問い合わせはこちらから

  • マーケティング資料請求
  • お問い合わせ
  • 会社資料請求

あなたにオススメの記事

  • 人工知能の全貌に迫る!人工知能の活用事例10選

  • 今、数々のファッションブランドが飲食業界への参入を急ぐ理由

  • シリコンバレーの大企業が注目するグラフデータベースとは?その魅力に迫る!

  • どうなる3Dプリント業界? "幻滅期"を抜け出すカギはどこにあるのか

  • 【連載企画】今世界で注目を集める「ディープラーニング(Deep Learning)」とはなにか

  • 【連載企画】いま、ファッション業界でIT革命が起きている

  • シリコンバレーの天才達が土日も休まず働く理由

  • もし桃太郎が現代のWebマーケティングで鬼退治をしたら

  • メルマガお申込み