今、数々のファッションブランドが飲食業界への参入を急ぐ理由

WRITER : 平野紗希

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引用:Urban Outfitters

11月16日、アメリカのセレクトショップであるUrban Outfittersの親会社Urban Inc.が、ピザチェーンであるVetri及び複数のレストランを買収し、飲食業界に参入することを発表した。

なぜ今、アパレル業界は飲食業界に参入するのだろうか?そしてそれは今後どのような展開を見せるのだろうか?

 

ファッション業界で進む飲食事業展開の動き


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ピザチェーンを買収したUrban Outfittersはアメリカペンシルバニア州のフィラデルフィアに本社を置く、セレクトショップで、アメリカとヨーロッパにおいて238店舗(2015年1月時点)を展開中である。

アートや音楽などに興味を持つ流行に敏感なシティガールやシティボーイに向けた「ライフスタイル提案型ショップ」として、ファッションアイテムをはじめ、家具やインテリア、書籍、ヘッドホンやレコードといった音楽関連グッズなど、幅広く取り扱っている。

 

ファッションブランドが飲食店とコラボすると言う話は決して新しくはない。
ニューヨークにあるユニクロでは店舗内にスターバックスが出店しており、ショッピングを楽しみながらコーヒーを飲んだり、サンドイッチを食べたりすることができる。

また、日本でもこれまでに、BEAMSやUNITED ARROWS、JOURNAL STANDARDといった大手セレクトショップがカフェ展開をしてきた。

しかし、今回のような大手ピザチェーンを買収といった、アパレル業界の本格的な飲食事業への進出は新しい動きである。

 

今、ファッションブランドがリアル店舗で抱えている課題とはー

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過去に離脱した顧客の呼び戻しや新規顧客の獲得は、多くのファッションブランドがビジネス戦略を立てる際に重視していることである。


昨今、オンラインショッピングサイトの利便性が向上したことで、ファッションEC市場は徐々に市場規模を拡大させている。

一方で、ファッションブランドが持つリアル店舗は、単に他ブランド店舗の顧客だけではなく、EC利用者もリアル店舗に取り巻くことを視野に入れ、オンライン/オフライン、国内/海外の競合を相手に顧客獲得競争を行わなければならない。

 

しかし、似たようなコンセプトを持ち似たようなアイテムを取り扱うブランドは、他ブランドとの差別化を図ることが難しくコモディティ化している。
その結果、従来の顧客離れが進み、新規顧客の獲得においても課題を抱えている。

 

オンラインではできないライフスタイルの提案=「衣食住」をカバーするリアル店舗


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引用:UO BLOG

上で述べた背景もあり、セレクトショップを中心に“服を売る”のではなく“ライフスタイルを提案する”という傾向が高まっている。

ライフスタイルを表現する手段として、ファッションアイテムの販売のみならず、本やインテリア、生活雑貨などブランドコンセプトに合ったものを取り扱う店舗が増えている。

またライフスタイルショップへの転換は取り扱い商品の変化にとどまらず、ベーカリーやコーヒースタンドなどのカフェ事業へサービスを拡大することで、「衣・食・住」それぞれにおいて価値を提供し、顧客の生活に寄り添うことができる、新たなビジネス形態に変わっている。

 

なぜピザ屋なのか

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今回、ピザチェーンを買収したUrban Inc.は、「リアル店舗内に、ピザの食べられるカジュアルレストランを併設することで、ライフスタイル提案型ショップとしての事業拡大化を進める」と述べている。

 

冒頭でも述べたように、リアル店舗とカフェの併設は、自社含め、他ブランドでもすでに行っており、差別化できない。

そんな中Urban Inc.は、飲食事業の展開にあたり「ブランドコンセプトに合うカフェの併設」ではなく「顧客である10代〜20代のアメリカの若者が好きに違いないピザレストランの併設」を進める。従来の競争軸からずらし、新しい価値を顧客に提供するといった狙いだ。

 

ライフスタイルを提案することで生まれる新しい店舗のかたちー

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引用:UO BLOG


本文中でも言及したが、顧客の呼び戻しや新規顧客の獲得がファッション業界おいて従来から続く課題である。それを解決することができるのは、他社との差別化するために、ファッションアイテム販売のみではなく、ブランドコンセプトやターゲットに合わせた「衣・食・住」の提供をし、コモディティ化から逃れることである。

その一つの方法として飲食業界への参入はこれからも進むと予測される。

 

今回紹介したUrban Inc.は、日本でもFree Peopleというブランドを展開している。今後、もしかするとピザチェーンVetriがFree Peopleのリアル店舗に登場し、グルテンフリーのピザや、野菜をふんだんに使ったピザなど健康嗜好のピザを提供するといった、日本の顧客に合わせたやり方で飲食事業展開をするかもしれない。

さらに、アパレル業界の飲食事業展開はこれにとどまらず、ハイブランド店舗がターゲットを意識し高級フレンチレストランを併設したり、ボヘミアンアイテムを取り扱うアパレル店舗がブランドコンセプトを意識しチェコ料理レストランを併設したりするといった動きも考えられる。

 

どんなに確立されたブランドであっても、顧客の心を掴むには、ビジネスモデルを時代とともに変化させ、新規事業を展開し、コモディティ化を回避し続けなければならない。

ファッションブランドから派生した”ライフスタイル提案型ショップ”は、今後「衣・食・住」それぞれの価値を、今までとは違うユニークなかたちで表現し、顧客へ与えていくことが大切なのではないか。

 

▼参照

RetailDrive

 

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