「デジタルとリアルが生み出すイマドキの”ギフト”の贈り方」ー株式会社ギフティ代表取締役 太田氏インタビュー

WRITER : 平野紗希

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みなさんはeギフトサービス(ソーシャルギフトサービス)を利用したことはあるだろうか。eギフトサービスとは、オンライン上でデジタルのギフトチケットを購入して、ギフトを渡したい相手にSNSやメールで送り、受け取った相手がそのチケットを店頭で商品と引き換えることができるサービスである。

矢野経済研究所の調査「商品券・ギフト券/ソーシャルギフト市場の実態と展望2015年版」によると、

2014年度のソーシャルギフト市場は、前年度比182.2%の82億円と推計され、2020年度のソーシャルギフト市場は1,110億円(発行金額ベース)まで成長すると予測されている。

法人の販促キャンペーンや従業員向けの福利厚生でソーシャルギフト利用数が増加したこと、個人間でスモールギフトを贈りあうサービスが浸透したこと、そして商品券・ギフト券がオンラインで代替され始めたことが背景にあるという。

このような国内ソーシャルギフトサービスの需要増加を牽引するのが、太田睦氏率いる株式会社ギフティ(以下、giftee)だ。gifteeは消費者向けカジュアルギフトサービス「giftee」の運営と、法人向けギフト販売システム「eGift System」の提供の2つの事業を展開している。

SNSを利用して気軽にギフトが贈れる消費者向けサービス「giftee」

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「giftee」はちょっとしたお礼やお祝いの気持ちを伝えたい時、相手の住所が分からなくてもLINEやFacebookで気軽にギフトを贈れるソーシャルギフトサービスである。全国28,600店舗以上の商品を取り扱っており、コーヒーショップやコンビニエンスストア、レストラン等の商品の中から、さまざまなギフトを選ぶことができる。平均販売価格は約600円。贈り先に負担を感じさせず、気軽にLINEやメールで贈りあえる、会員数45万人の国内No.1カジュアルギフトサービスだ。

ギフトチケットの生成と配信、およびそのギフトチケットを自社サイト上で販売できる法人向けSaaSシステム「eGift System」

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「giftee e-Gift System」は、デジタルのギフトチケットを生成し、導入企業が自社のサイトから販売することを可能にするシステムである。店頭にて、スマートフォンやタブレットに表示されたギフト交換画面を提示することでギフトと引き換えることができる。引き換えられたギフトチケットは個別に消し込み(※1)を行うため、二重利用の防止や利用実績の把握・分析が可能になる。 e-Gift Systemをキャンペーンの販促ツールとして活用することで、導入企業は気軽にデジタルギフトチケットを活用した店舗送客施策に取り組みやすくなる。

(※1 消し込みとは、電子チケット画面を店頭で見せてサービスを受ける際、チケットを使用済みであることを反映させる作業のこと)

ソーシャルギフト市場を牽引するgiftee 代表の太田氏へインタビュー

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今回は、“より多くの「驚きと笑顔」が生まれる社会へ。”をビジョンに掲げ、CtoCの自社eギフトサイト「giftee」と、デジタルギフトチケットの生成・配信・販売を可能にするSaaSシステム「eGift System」の2サービスを展開する株式会社ギフティ 代表取締役 太田睦氏(以下、太田氏)にお話を伺った。

慶應義塾大学総合政策学部卒業後、新卒でアクセンチュアに就職。2年半で退社したのち2010年株式会社ギフティを設立した太田氏。

そんな太田氏が、どうしてギフト領域でのビジネスに挑んだのか。サービス提供の背景とともに、gifteeが目指す世界、そしてアナログをデジタルで置き換えることによって広がる未来について語っていただいた。

外資コンサルを辞め、一念発起して起業、なぜギフトの世界へ飛び込んだのか

ーまずはじめにソーシャルギフトサービス「giftee」をつくったきっかけをお聞かせください。

大学生のころ、梅田望夫のウェブ進化論を読んでIT業界に興味を持ったことをきっかけに、卒業後はSEという形でアクセンチュアに入社しました。

僕が学生のころは、周りでGREEが流行っていて、その中にある寄せ書きを集められる機能をよく利用していました。友達の誕生日が近づくと、「寄せ書きを書きませんか?」といったメール通知が来て、集められたメッセージを誕生日当日に本人に届けることができるのです。

学生時代はこれをきっかけに、当日学校で誰かをサプライズしたり、飲み会でおごったりしていました。

入社後2009年ごろから、そういったコミュニケーションはFacebookやTwitterに代替され、仲の良い人が誕生日でも、「誕生日おめでとう」のメッセージを送って終わりになってしまったことに気づきました。僕はテキストのみのやり取りにどこかそっけなさを感じていました。

その時に、もう一歩踏み込んで、なにかちょっとしたギフトを贈ることのできるサービスがあればいいなと感じ、「SNSを用いて、スタバの1杯のコーヒーをプレゼントできるサービス」を作ろうと思いました。

ー学生時代の経験と、社会人になってからの変化が、スモールギフトサービスをつくるきっかけとなったのですね。

はい。2009年ごろ、このアイデアを自分たちで育てていこうと思い立ち、アクセンチュアの同期に声をかけたり、街に繰り出して興味を持ってくれた人を引っ張ってきてたりして、3〜4名ほどの小さなチームを結成しました。

最初はもちろん会社の立ち上げの知識も経験もなかったのですが、ちょうどオープンネットワークラボが第一期生を募集していることを知り、応募してみたところ、事業の支援をしていただけることになりました。オープンネットワークラボではMIT(マサチューセッツ工科大学)のメディアラボの所長を務める伊藤穰一さんからアドバイスをいただくこともできました。

その時はまだ会社をやめておらず、平日夜や休日にラボに行ってディスカッションしたりといった、ハードなスケジュールをこなしていました。そして、2010年の8月に会社を設立しました。

ー現在、スターバックスやローソン、ミニストップなど大手企業と提携していますよね。最初は、どのようにgifteeのサービスを広げていったのでしょうか。

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引用:giftee

まずはじめにローカルなカフェやバーからスモールスタートを切ろうと考えました。最初に営業に行ったのがラテアートで有名な「ストリーマーコーヒー」でした。

そこのカフェでよく作業をしていて、店長さんと話すことが多かったこともあり、デジタルでギフトを贈りあうサービスの話を持ちかけたところ快く引き受けてくれました。

その後、カフェのオーナーさんから他のカフェも紹介していただきながら、人との出会いや繋がりをたどることでサービス開始時には50店ほどの店舗と提携することができました。

ー50ものお店を集めることができた裏側にはなにか特別な理由があったのでしょうか

当時ちょうど日本にグルーポンが上陸したところで、多くの飲食店はクーポンの営業を受けていました。

その営業を断っていた店舗の多くは「自信を持って提供している商品やサービスに対して、出来る限り割引せずに定価でご提供したい」という思いがあったようです。そんな思いを持っている方々に対して僕たちは、「自信のある商品を割引ではなく、ギフトとして定価で提供できるサービス」つまりは「ブランドを好きなお客さんが、周りにその良さを伝えることのできるサービス」であることをお客さまに訴求しました。

使えるのは1回のみ。クーポンではなくギフトサービスならではの導入ハードル

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ーデジタルクーポン分野が伸びているときと同じ時期にクーポンではなくギフトで勝負を挑んだのですね。eギフトのサービス展開でどのようなところに苦労されたのでしょうか。

デジタルクーポンは提示すれば何回でも使えることが多いですが、それに対してギフトは1回のみ使用できるようにしなければなりません。

ギフトと引き換えた後のチケットが使用済みであること反映させる「消し込み」処理を行なう必要があります。これが予想以上に大変でした。

ー使用済みかどうかを判断するために必要となる消し込み”。具体的に店舗ではどのように消し込みが行われているのでしょうか。

まず、サービス提供開始当初、「4桁の暗証番号を店側に教えておいて店員が入力する」といった形で消し込みをしていました。

ただこの方法は、4桁のコードを全てのレジ打ちをする従業員の方、アルバイトの方に覚えて頂く必要があるので、比較的小規模な店舗でないと難しいというところがありました。

もう一つの方法として、店舗のPOSデータとgifteeの持つサーバーをつなげ、お客さまが提示したバーコードの情報を識別することで、消し込みを行うことができます。それにはPOSシステムの改修が必要になるのですが、初期費用として数千万円から数億円の費用がかかるため、担当者がいくらやりたくても、会社として動いてくれなければ導入が難しかったのです。

ーPOSデータの改修が予想以上に高いハードルだったのですね。デジタルギフトを広めるために、それらの困難をどのように乗り越えたのでしょうか。

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引用:Starbucks

我々は当初、「giftee」のサイト上てギフトを贈ることができるCtoC型のサービスだけを行っていました。企業の担当者の中には、「giftee」という当時数万人しかユーザーがいないサービスのために、投資をするのは難しいが、自社でギフトの売り場を持てるのであれば投資ができるというお話をいただきました。

そこで、ギフトチケットの生成と配信、およびそのギフトチケットを自社サイト上で販売できるSaaSシステム「eGift System」の提供をはじめました。

完全にgifteeは黒子で、表から見るとブランドが持つギフトサイトですが、裏側で「eGift System」によってチケットの生成、配信、販売、消しこみ、管理を行っています。

POS改修の障壁を取り除き、eギフトサービスの導入を容易にした”gifteeスタンプ”とは

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また、2015年11月27日より「giftee スタンプ」の提供を始め、より多くの飲食・小売業などの店舗がeギフトサービスを開始することができるようになりました。

先ほどもお伝えしたように、今までeギフトサービス導入の障壁となっていた”消し込み”をPOSレジの改修なしに、スマホ画面に直接スタンプを”押す”だけで、eギフトを消しこむことができます。

ー具体的にこのスタンプにはどのような技術や仕組みが用いられているのでしょうか。

スタンプの表面に、5つのタッチポイントがあります。形状情報と、タッチの順番といった配列を組み合わせることで1000万通り以上の個別情報をスタンプに刻印することができるのです。

また、人間の静電気を利用したタッチ認証技術を利用することで、スタンプ自体はバッテリーなしで利用することができます。

今まで数千万円〜数億円かかっていたPOS改修による消し込みをこの小さなスタンプ1つで置き換えることができるのです。

昨年秋の提供開始後すでにアフターヌーンティー、スープストックトーキョー、上島珈琲店などに導入されています。これからリリースされる企業もありますし、電子スタンプによって飲食・小売業を中心に、店舗環境に関わらず様々な場所でeギフトが導入可能です。

ギフト券をデジタルに置き換えることで、飲食・小売業界のオムニチャネル化を促進する

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ー今後日本において、eギフトサービスはどのように広がっていくと思いますか。 

実は、日本のギフト市場1兆円の中で用途別で見ると17%しか個人間のギフトのやり取りはないのです。83%は企業がキャンペーンや福利厚生で使っているもので、そのほとんどが未だに紙なんです。

百貨店商品券や図書カードなど紙やカードのギフトは、物理的な在庫が発生してしまうため、在庫管理や紛失などの対応もしなければならず、とても非効率的です。eギフトは配送料や印刷代などのコストもかからず、低価格帯の自社製品もギフト販売することができます。

eギフトサービスは、最近ですと消費者間でギフトをやり取りするCtoCの場のみならず、BtoCの領域にも広がってきています。例えば、Benefit Oneが運営するBenefit Stationでは会社から従業員に対してギフトを贈るといったシーンでeギフトが活用されています。またBenefit Station内にあるポイント交換所では、これまで、送料などのコストがかかる関係で、数千円分のポイントがないとギフトとの交換ができませんでした。しかしオンラインで完結するeギフトであれば、数百円分のポイントから交換ができます。

さらに、今まで飲食・小売企業が店舗集客のために、「お店に来たら◯◯をプレゼント」といったキャンペーンを行う場合、ギフトを渡す時に送料や在庫管理のコストが発生していました。そこを効率化すべくeギフトが導入されています。

このようにeギフトサービスの活用方法の多様化が進んでおり、リアル店舗への集客といったオムニチャネル効果にも期待が集まっています。

ーeギフトに多くの企業からの注目が集まる中で、gifteeは今後どのような挑戦をしていきたいですか。

ギフトチケットはお金と同じものなのに銀行に預けることができません。とあるケータイショップでは仕入れた金券の1割が盗まれていると聞いたこともあります。物理的なものを人間が管理することに問題があるのです。我々はそういった非効率性やセキュリティの脆弱性をデジタルの力で解消していきたいです。

「今まで手渡しor配送という発想しかなかったギフトの世界にデジタルで贈るという概念を広げていきたい。企業と一緒になってデジタルチケットの文化の醸成を行っていきたい。」と考えています。

ーeギフト導入によりこれからの飲食・小売業界はどのように変化していくのでしょうか。そしてその変化をgifteeがどのように生み出していくのでしょうか。

紙のギフトはこれからもしばらくは残ると思いますが、eギフトに置き換えていくことでコンテンツ自体が流通しやすい形に生まれ変わっていくと思っています。流通しやすくなることで、顧客数も増加します。

しかし、eギフト市場を拡大していくためにはまず、各企業のシステム整備、ユーザーのリテラシー向上が求められます。我々は、企業とユーザーそれぞれに寄り添いながら、ソーシャルギフト市場を盛り上げていきたいと考えています。

また、eギフトにかかわらずチケットなど、”消し込み”が必要な領域にはどんどん進出していきたいとも考えています。

例えば、観光地で使えるデジタルのチケットです。訪日外国人向けにつかっていただくということも考えていて、地方自治体さんとも協力しながら進めていきたいです。

ー今後eギフトを通して、gifteeは世の中にどのような価値を提供したいですか。

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SNSの普及によりコミュニケーションが多様化する一方で、デジタルとリアルの中間に位置する 「カジュアルギフト(低単価/送料不要/多店舗展開ブランド)」を贈る手段というのは意外と多くはありません。gifteeは、1000円までの簡単なギフトを気軽に気持ちを贈る手段を提供することで、これまでにないギフト文化を創りだそうとしています。

まずは、「eGift system」の提供を通して企業との連携を深めて、より効率化されたギフトサービスの仕組みをつくっていき、それを結果的に、消費者に対してソーシャルギフトサービスの認知度とリテラシーの向上に繋げていきたいと思っています。

「giftee」は現在「送らなくてもいいのだけど、送ったほうがいい」というシーンで活用されているようです。久しぶりに会う人に贈るプレゼントというよりは、同僚や家族など親密なつながりがある人たちに気軽にちょっとしたサプライズをする、といったときにgifteeを使っていただいています。

小さなありがとうの気持ちを贈りたいときに感謝を伝えることのできる”ちょうどいい”サービスをこれからさらに開拓していきたいです。

ー本日はありがとうございました。

 

BtoB領域でのeギフトシステムの提供や、ギフトにとどまらないチケットのデジタル化にも取り組み、事業の幅を広げているgiftee。

ビジョンとして掲げる“より多くの「驚きと笑顔」が生まれる社会”を目指して、ギフトをデジタルで贈るという文化を創っていってほしい。

IT活用により、今までアナログで行われていたさまざまなコミュニケーションがデジタルの世界で置き換えることができるようになり、対面で「ありがとう」「おめでとう」「がんばってね」といった感謝や祝福、応援の気持ちを伝える機会も減ってきている。そんな時代だからこそ、ちょっとした気持ちを相手へ伝えるとき、テキストに加え、心のこもったギフトを贈ってみてはいかがだろうか。

gifteeのビジネス展開と、ソーシャルギフト市場の広がりから今後も目が離せない。

 

▼株式会社ギフティ

https://giftee.co.jp/

▼gifteeサービスサイト

https://giftee.co/

 

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