知ってて当然!? 本格化する百貨店のオムニチャネル事例5選

WRITER : 塩野入香菜

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2011年、米国百貨店Macy’s(以下、メイシーズ)がオムニチャネルを導入してから早3年。百貨店業界は、オムニチャネル戦略を本格的に導入するようになった。オムニチャネルとは、あらゆる場所で顧客との接点を持つために、実店舗やオンラインなどの販売チャネルや流通チャネルを統合することである。オムニチャネルは、百貨店の強みである販売分野・販売チャネルの多さを有効活用できる戦略である。各社の動向がわかる最新事例を見ていく中で、今後のオムニチャネル戦略の中で核となるカスタマージャーニーにも注目する。

百貨店でオムニチャネル戦略が本格化

松本パルコ引用:Wikipedia

複数の販売・流通チャネルを統合し、顧客との接点を増やすオムニチャネルという用語は、2011年に米国大手百貨店・メイシーズが発表した「オムニチャネル宣言」によって広く知れ渡った。メイシーズは、多くの百貨店と同様にショールーミングによる業績不振に見舞われていたが、ECサイトと実店舗の在庫情報や顧客情報を一元化して、ニーズの取りこぼしをなくし業績改善を実現した。スマホの普及とネット販売拡大はショールーミングを引き起こし、百貨店を追い込んだが、その対抗策として有効だったのがオムニチャネル化だったのだ。

日本でも百貨店の売上の不振は続いているため、業績回復を目指して各社オムニチャネル戦略を本格的に導入している。

百貨店売上すいい

最近の動向として、株式会社高島屋は120億円を投資しオムニチャネル推進、またセブン&アイホールディングスは武蔵小杉グランツリーにて店舗同士の中継を行うなどのオムニチャネル実験を積極的に実施している。

今回はこのような百貨店オムニチャネル最新事例5選を見ていく。

百貨店オムニチャネル最新事例五選

PARCO

カエルパルコ_2014-11-5_15-45-33引用:静岡PARCO

オンラインストアを簡単に作ることができるサービス「STORES.jp」と連携し、PARCOが各テナントにオンラインストア機能を提供する「カエルパルコ」を展開。現在パルコショップブログ内では、約3000ものテナントがショップブログを書いている。各ショップ店員が自由度高くショップブログを運用しており、貴重なコンテンツが大量に生成されている。「カエルパルコ」では紹介される商品を記事からそのまま購入・取り置きなどが可能だ。実店舗にて買い取りや確認もできるが自宅配送なども、もちろんできる。

さらに、公式アプリ「POCKETPARCO」がリリースされたことも話題となっている。情報のキュレーション機能や商品注文、来店特典などがまとまっており、顧客の新しいショッピング体験の創造を目指す。

東急ハンズ

ハンズ_2014-11-5_15-41-50引用:東急ハンズネットストア

ユニークな商品が多く集まる東急ハンズでは商品の良さを記事で伝えるオンラインショッピングモール「HANDS IPPIN MARKET」を開設。店頭で販売している商品にとらわれず、世の中にある「面白い」商品を記事でとりあげ、オンラインショップ内で公開する。Amazonや楽天のような、出店数の多さではなく、商品の良さにこだわりや価値をより伝わりやすくするメディア形式を取る。商品の作り手と消費者をつなぐプラットフォームを目指す。

松屋銀座

tabmall1引用:shopping-tribe

松屋銀座はネット上の仮想のショールーム「tabモール」を利用し、ネット上で気に入った商品を実店舗に取寄せ、試着などの確認ができるサービスを展開する。まさに「ショールーミング」ならぬ「ウェブルーミング」だ。落ち込んでいる実店舗利用率を上げる効果が期待され、それに伴い他の商品の購買も期待できる。特典をつけ、セット販売を行うなどすれば利用率は上がるだろう。

品揃えは豊富で、店舗で扱うものはもちろん、陳列しきれないものや店舗で取り扱いのない商品まで多数取り揃える。気に入らなければ費用負担なく返品が可能だ。販売スペースを無駄にする事なくニーズを取り込むことができる仕組みだ。試着ニーズの高い、婦人靴2万点を取り扱うことが可能になる。今後も婦人服など品揃えを順次増やす。

大丸松坂屋

_2014-11-5_15-48-53引用:大丸松坂屋 クリック&コレクト

これまで大手アパレル・ワールドのシステムに乗る形だったO2Oサービス「クリック&コレクト」(=ネットで購入した商品を店舗か自宅で受け取り可能にするサービス)を内製化し注文から決済までを大丸松坂屋で行うことで、利用者を増加させた。これまではワールドと松坂屋の両方の会員登録をしなければならなかったが、シームレスにつなぐことで利用の際の摩擦をなくした。また、店頭のみで受け付けていたプレゼント包装への対応や配送日時指定が可能になど、顧客満足度の向上のため、更なる拡大を狙っていく。

メイシーズ

メイシーズ_2014-11-5_15-51-30引用:Macy’s

オムニチャネル導入に積極的な米大手百貨店メイシーズがiBeacon(アイビーコン)4000台を全米店舗に導入。2013年の11月にメイシーズは米国ベンチャーのshopkickのビーコン「shopBeacon」を採用して少数の店舗で実証実験を行っている。売上向上の効果が見込まれ、今回の導入に踏み切った。リアルとネットをつなぐ重要なツールであるの大規模導入の展開は今後も注目だ。またiPhone6搭載の決済機能「Apple Pay」を小売業界で初めて導入することも発表している。Apple Payの普及に関しても目が話せない。

 

▼参照
松屋、ネット上に仮想ショールーム 試着も可能に
パルコとSTORES.jpが連携 ー 店頭の商品をネットで注文・取り置きできる新サービス「カエルパルコ」を開始
大丸松坂屋百貨店  店頭受取サービスを強化、専用サイトのシステム内製化
メイシーズが全米の店舗にiBeaconを4000個投入。さらにApple Payも。

▼関連記事
ショールーミングなんて怖くない?!「プロジェクションマッピング」はリアル店舗の強い味方となるか
iBeacon導入前にマーケティング担当者が確認すべき5つの課題

 

まとめ

・百貨店はショールーミングによる業績不振に悩んでおり、オムニチャネル戦略導入が本格化している。

・百貨店の強みは衣食住の全分野を網羅しており、多くの販売チャネルを有している点である。全てをオムニチャネルによって統合することで多くの顧客のニーズに応えることができる。

・パルコや東急ハンズ等ターゲットが明確なものは差異が現れ始めており、自社のカスタマージャーニーによる分析がさらに重要になる。カスタマージャーニーとは、顧客が購入に至るプロセスのことだ。様々な選択肢が用意されている中で、顧客の心理や行動をマップにして分析することは今後のマーケティング戦略でより重要になる。

 

▼関連記事

「オムニチャネル時代」にAmazonに勝つ方法。大手4百貨店に学ぶO2Oオムニチャネル戦略

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