2020年に向けて増え続けるインバウンド顧客、どのように獲得するか?

WRITER : 朴 泳虎

  小売業界トレンド

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インバウンド顧客の取り込みは小売企業にとって目下の最重要課題の一つとなっている。日本政府観光局の発表によると、2015年1~9月に訪れた外国人観光客の数は1,448万に登る。これは2014年1年間で訪れた外国人観光客1,340万人を超えている。また、この数値は2020年の東京オリンピックに向けて増加し続けることが見込まれている。今回は、こういったインバウンド顧客が増加した背景と小売企業の売上に与えるインパクト、そして小売企業が取るべき次の一手を考えて考えてみたい。

 

インバウンド顧客増加の背景には

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引用:JING DAILY

近年のインバウンド顧客増加にはどういった背景があるのだろうか?

まず誰がインバウンド顧客となっているかを知るために2015年1~9月の訪日観光客の国別内訳を見てみたい。

国別訪日観光客数数ランキング

1位:中国(383万人)

2位:韓国(285万人)

3位:台湾(277万人)

4位:香港(110万人)

5位:米国(75万人)

6位:タイ(54万人)

7位:豪州(26万人)

8位:英国(19万人)

9位:マレーシア(18万人)

10位:フィリピン(18万人)

引用:日本政府観光局

 

上記のデータを見ると上位4ヶ国のアジア近隣国が約80%が来ている分かる。特に1位の中国は単体で約25%を占めている。アジアからの観光客が増えた背景にはアジア、特に中国における上位中間層の爆発的な増加があるとされる。JETROレポートによると2015年の中国の上位中間層(家計所得$15,000~35,000)は2009年と比較して2.5倍の2.2億人に達したと言われている。このような生活に余裕の出てきた層が近場の観光地として日本を訪れているのだ。

 

更に、2010年に中国人観光客に対する観光ビザ発給要件が大幅に緩和された事や、円安が進み中国元との為替レートが2010年頃と比べて40%以上安くなったこともインバウンド顧客の増加を大きく後押ししている。

 

インバウンド顧客は売上にどのぐらいインパクトを与えるか

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引用:Japan Times

では、増加したインバウンド顧客は小売企業の売上にどのぐらいのインパクトを与えているのだろうか?観光庁のデータによると、2015年7~9月期の訪日観光客の消費額は約1兆円で、2015年通期で3兆円に登ると言われている。 最も消費額が多かった国は中国で約4,660億円、実に全体の46.6%を占めている。中国人観光客の「爆買い」が流行語になったのも頷ける。

 

次に個別の企業の事例を見てみよう。総合免税店を全国に展開するラオックスは2015年6月中間決算で売上高が前年比2,2倍の451億円、純利益に至っては79倍の46億円となった事を発表した。また、三越伊勢丹ホールディングスによると2015年8月の三越銀座店の売上高は前年比17.6%増、インバウンド売上に絞ると2.5倍になっているとのことだ。

 

インバウンド取り込み成功事例を踏まえた次の一手は

4

引用:Asia Times

さて、ここまでご紹介した内容でインバウンド顧客獲得への取組の重要性を理解いただけただろう。だが、問題はどうやって彼らを振り向かせればよいのかという点だ。以前に当メディアでもご紹介したドン・キホーテでは24時間体制の外国語対応コールセンターやインバウンド顧客用の免税専門カウンターの設置、購入したサービスを空港まで配送するサービスンなどを実施している。

しかし、こういった全社的な取組みは大きな投資や長い時間が必要で簡単にできるものではない。そこでお勧めしたいのは次の3つのステップを通して、自社が持つ強みを活かすことである。

 

Step.1 「店舗内外の」インバウンド顧客の行動パターンを理解する

店舗内での顧客の行動は見えやすいため対応しやすい。しかし、それと同じぐらい重要なのが店舗外での行動パターンだ。例えば、初めて日本に来る中国観光客の6割は団体のパックツアーである。つまり、昼は観光先のスケジュールが決められており、自由時間は夜になる。先に触れたドン・キホーテは夜に他店が閉店する中でも開いており、かつ家電製品からブランド物ま幅広く取り揃えることで多くのインバウンド顧客取り込みに成功している。

 

Step.2 行動パターンを理解した上で他社との差別化を図る

差別化要因はなにも開店時間や品揃えだけではない。例えばこれはとある地方ホテルの事例だが、ゲスト用Wi-Fi設置率の低い日本ではネット回線を来店客に開放するだけでもスマートフォンを使いたい観光客に訴求することができる。自店舗の周りと比べた時にどんなメリットが提供できるのかが重要だ。

 

Step3. 差別化要因を積極的に情報発信する

最後に、差別化に成功したとしてもその情報をきちんと伝えられていなければ無意味だ。今の時代では旅行先を事前にオンラインで検索するのは当たり前になって来ている。よってインバウンド顧客が調べる際に使うようなサイト、あるいはキーワードで自店舗の差別化ポイントが出てくるようにするのは非常に有効だろう。あるいは、前述したWi-Fiのような取組を複数の言語で書いた看板などを店先に置いておくだけでも一定の効果が望めるかもしれない。

今回、ご紹介したのはあくまでも考え方であり、当然のことだが明確な正解はない。しかし、国内人口が縮小していく中で海外の顧客を取り込むことは中長期的な企業の存続に関わる問題である。そのための一歩を、この機会に検討されてみてはいかがだろうか?

 

▼参照

中国人観光客が増加している理由-中国人インバウンド対策

中国の団体旅行者は61%!国別の団体旅行と個人旅行の比率

日本政府観光局

JETRO

 

▼関連記事

ドン・キホーテの取り組みから見るインバウンド顧客を5倍に増やす方法

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