「ファッション×テクノロジー」でおもてなしを科学する!?三越伊勢丹の挑戦

WRITER : 平野紗希

  小売業界トレンド

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CNET

引用:CNET Japan Live 2016

2016年2月18日(木)、「CNET Japan Live 2016 Target 2020 ~テクノロジーがもたらすパラダイムシフト~」が青山ダイヤモンドホールで行われた。

IoT、ロボット、クラウドソーシング、仮想現実、シェアリングエコノミー、FinTechといった2020年に向けた未来のテクノロジーをテーマにしたセッションが繰り広げられ、約500人が参加した。

同イベントの中で、株式会社三越伊勢丹ホールディングス(以下三越伊勢丹)の北川 竜也氏(以下北川氏)が「これからの百貨店の価値創造 ~三越伊勢丹の挑戦~」をテーマに、基調講演を行った。

本記事では、同セッションの内容を、「三越伊勢丹が取り組むファッション業界でのテクノロジー活用とその理由」に焦点を当てて紹介する。

▼参照
CNET Japan Live 2016

 

百貨店業界に押し寄せる衰退の波に立ち向かう三越伊勢丹。ここ数年の「ファッション×テクノロジー」の取り組みとはー

現在、日本国内GDPが約500兆円、そのうち小売全体の売上規模は約140兆円、百貨店は約6.2兆円。これは全体のわずか4.4%である。

バブル経済が崩壊する前の1990年頃は、10兆円近くの売上高と6%のシェアがあった百貨店も、今では衰退傾向が続いている。

そんな中、三越伊勢丹はデジタルテクノロジーを用いた新規事業創出によって、長きに渡り形成された縦割り組織の壁を越えた新しい価値の提供を試みている。

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引用:ISETANナビ

たとえば、2015年4月29日からスタートした「ISETANナビ」は、伊勢丹新宿本店の本館・メンズ館に設置された約560個のBeaconと連動した買い物をサポートするアプリだ。目的のショップや館内施設までの順路を案内する”ナビゲーション機能”と、各階のおすすめ情報やイベント案内をタイムリーに発信する”情報配信機能”が主な特徴。Beacon端末と顧客のスマートフォンアプリが位置情報の送受信を行なうことで、位置情報にもとづいた案内を可能にしている。

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引用:SENSY

また、360度全方位から画像確認ができ、衣服の色を変えたり、画像を保存しSNSでシェアすることもできる仮想試着ミラー「memomi」や、人工知能を活用したパーソナルスタイリスト「SENSY」といった先進的なテクノロジー活用サービスも昨年度次々と三越伊勢丹の店舗に期間限定で登場した。

▼参照
新宿伊勢丹が人工知能搭載アプリ「SENSY」導入!将来的にはヒト型ロボットへの組み込みも

 

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引用:Microsoft

さらに、現在は、日本マイクロソフト株式会社Surfaceとのコラボレーション企画「ISETAN MEN’S x Microsoft Surface ~ 未来を纏え ~」を伊勢丹新宿店メンズ館にて実施している。(2016年2月17日から3月1日まで)

来店者のコーディネートを撮影し、ホログラム化して投影するバーチャルショールーム、15台のSurface Pro 4を用いたデジタルマネキンなど「未来のデパートメントストア」を表現しているという。

このように三越伊勢丹は、リアル店舗において、デジタルテクノロジーを積極的に活用している。

▼参照
ISETAN MEN’S とのコラボレーション企画「ISETAN MEN’S x Surface ~ 未来を纏え」を 2 月 17 日より開催

テクノロジー活用はあくまでも手段!三越伊勢丹が積極的にITを活用する理由

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北川氏は、講演の中で以下のように説いている。

「三越伊勢丹がここ数年で行ってきたファッション×テクノロジー領域での取り組みの中には、全くうまくいかなかったこともありましたが、その知見が蓄積されていくことこそに意味があるのです。また、ライフスタイル提案企業として、お客さまの日々の生活に上質な価値を提供するにあたり、デジタルテクノロジーの進化がもたらす生活の変化を無視することはできないと考えています。

たとえば5分かかっていた決済の時間が5秒になれば、4分55秒はお客様とのコミュニケーションに使うことができます。新しいご提案ができるということです。我々は、その時間を捻出するために、今、おもてなしを科学しているのです。

しかし、デジタルテクノロジーの活用はあくまでも手段です。実際のところ、顧客情報の一元管理を行うこともお客様の体験には関係がありません。本質的に、お客様へ安心・安全をお届けするために、これからも積極的にテクノロジーを使っていきたいと考えています。」

 

デジタルテクノロジーの進化によって、「リアル/デジタル間での顧客との接点」、「決済手段」、「購買体験」、「ものづくり」など小売業界に関わる様々な部分で多様化や効率化といった”変化”が生まれた。

たとえば、近年、人工知能がスタイリストとしてコーディネートの提案を行ったり、3Dプリンタによって縫い目のない衣服の製作が可能になったりと、テクノロジーによって、パーソナライズされたサービスやモノの提供が可能になった。しかし、最終的に重要なのは人が生み出す”アナログ”体験だという。三越伊勢丹はあくまでも、人間にしかできないサービスをリアルの場で提供するために、テクノロジーを活用しているのである。

デジタルとアナログの接点をうまく掛けあわせながら、伝えたい情報を不特定多数の人々に発信するのではなく、お客さまが何を求めているのか本質的に捉え、一人一人に要望に合わせたきめ細やかなサービスを追究することによって、三越伊勢丹でしかできないお客様への「安心」「安全」の提供を目指しているという。

 

リアル店舗だからこそ可能になるOne to Oneのコミュニケーションや、お客様の生の体験といった、アナログの価値を最大限に引き出すために、三越伊勢丹は、「ファッション×テクノロジー」という答えなき領域で数々の挑戦を続けているのである。

 

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是非、小売業界のマーケターの皆様に事例研究やサービス導入をする際の参考資料としてご活用いただきたいと思います。

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