【連載企画】スーパーマーケットのIT活用事例まとめ

WRITER : Editorial department

  小売業界トレンド

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第1回目の記事でスーパーマーケット業界の現状について触れたが、今回はスーパーマーケット業界のIT活用事例について紹介したい。

海外ではウォルマートやテスコをはじめ、スーパーマーケットの売場にはあらゆるテクノロジーが活用された取り組みが多くあるものの、国内ではまだまだ活用事例が少ない。

今回の記事では、ベイシアで導入されている精算客数予測システムを活用した混雑予測や、西友で今年3月からスタートした「うけとロッカー」(スマートロッカー)の事例にスポットを当てて紹介する。

▼連載企画バックナンバー

第1回:テクノロジーが活かされる、コンビニ・スーパー業界の「いま」に迫る

第2回:コンビニ業界大手3社のビックデータ活用事例まとめ

▼関連記事

4年で13社買収!リテール業界の覇者ウォルマートの目指す先は?【前編】【中編】【後編

混雑予測によってレジ待ちを解消し、CS・ES向上、従業員の生産性の向上に成功(ベイシア佐倉店)

スーパー01

ベイシア佐倉店の来店者は6000人を超える

引用:日本経済新聞

株式会社ベイシア(本社:群馬県)では、千葉県佐倉市にあるベイシア佐倉店に約5年ほど前からサーモ(赤外線)センサーを使った、精算客数予測システムを導入している。

海外では同様のシステムを、英スーパー大手のテスコが約700店舗で導入しており、ベイシア佐倉店でこのシステムを導入したのは、CS(顧客満足度)とES(従業員満足度)、従業員の生産性という3つを同時に高めることが狙いだった。

現在、このシステムを導入したことによって、ベイシア佐倉店で設定しているレジ待ち混雑率のKPI達成率が約60%向上する結果となっている。

入り口とレジ付近にセンサーを50台設置

スーパー02

コンピュータが解析したデータに基づいて、空いたレジへ誘導する

引用:日本経済新聞

混雑予測システムの仕組みについては、以下の通りだ。

入り口とレジの近くに50台以上のセンサーを設置し、店内の客数データを収集。このデータと過去の実績データを組み合わせて分析し、これから必要になるレジの台数を予測する。

データの収集・分析・展開の流れとして、センサーから2種類のデータを収集しており、一つは店内の客数データ、もう一つはレジで精算を待つ顧客の組数のデータを収集している。

このデータを専用のソフトウェアで解析を行い、レジの稼動状況と「15分後」と「30分後」にレジが何台必要になるかをを予測し続けている。

この混雑予測データをレジ前係のデバイスに飛ばすことで、レジ前係はこのデータをもとに顧客を空いているレジへ誘導する。まさにコンピュータと人で役割分担をうまく分けている事例である。

さらにレジ前係は、予測データを見ながらレジの稼働台数を調整し、必要であれば他部門から応援を要請することも可能である。もし15分後に必要なレジの台数が変化すれば、PDAが振動し、レジ前係に知らせる。こうして本来発生するであろう混雑状況を回避しているという訳である。

レジ待ち混雑が解消されKPI達成率が60%向上

スーパー03

システム導入により、レジ前の混雑が解消

引用:日本経済新聞

ベイシア佐倉店のレジ前に関するKPIは、レジ1台に2組以上の待ちがない状態に設定している。

レジ1台に3組が待っている状態を混雑していると定義しており、混雑していない状況をレジ1台につき2組以下と定義している。

システムを導入前後で比較したところ、レジ一台につき2組以上を待たせない(混雑していない)状態が約60%向上したという。

併せてCSも、アンケート結果から向上していることがわかっている。

食品スーパーにおけるクレームの最大要因はレジ待ちといわれており、レジ待ちを解消するだけでCSは格段に高められるといわれている。

また同様に、店内の従業員が最も業務で嫌うのはそれぞれの持ち場で仕事をしている時に急遽レジの応援に入ることであるため、レジの待ち時間解消はES向上にもつながっている。

まだコストの関係もあり、このシステムは佐倉店のみの導入に留まっているが、こうした仕組みが安価に導入できるフェーズになれば、日本全国のスーパーマーケットにとって、一つ大きなイノベーションになるに違いない。

ついに日本のスーパーマーケットでもスマートロッカーの取り組みが始まる(西友 元町店 )

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引用:SEIYU ドットコム

米ウォルマートグループの傘下である西友は、この3月に長野県松本市にある西友元町店で改装に伴う一時閉店と併せて、ネットスーパー便の商品受取サービス「うけとロッカー」のサービス提供を開始した。

これは、西友のECサイトである、SEIYUドットコム経由で購入した商品を西友元町店の駐車場に設置されたロッカーで受け取れるという仕組みだ。

受け取り時間を1日2回に設定、一定数をまとめて配送することにより効率化を図る

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引用:SEIYU ドットコム

まずサービスの提供範囲であるが、生鮮食品を含む約15,000品目の品揃えの中から注文可能で、商品は元町店の近隣店舗から元町店店頭の専用ロッカーに格納される。

肉や魚、豆腐などの冷蔵品、アイスクリームなどの冷凍品はそれぞれ専用の保冷ケースに入れてロッカーに収めるため、店舗での買い物と同様に購入が可能である。

ロッカーには西友の店舗から商品を配送を行い、消費者は帰宅時などに立ち寄って商品を受け取ることができる。

受け取るタイミングについては、SEIYUドットコムで24時までに注文すると最短で翌日の12時~16時、11時までに注文すると最短で同日の16時~20時に商品を受取ることが可能だ。

利用の流れは、SEIYUドットコムでの注文時に受け取りたいロッカーの場所や時間帯を指定するとロッカーの番号とパスワードが通知され、パスワードを入力するとロッカーが開くというものである。

気になる費用だが、年会費と入会費は無料。配送手数料は購入額3,000円未満で300円(税抜)、3,000円以上は無料になる。

西友は配達先が不在だったときに再配達する必要がなく、一定数の注文先の商品をまとめて配達できるため、効率が上がるのがメリットとなっている。

地元地域の人々にネットで購入、リアルで受け取る新たな流れが定着するか

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西友元町店の駐車場に設置されている「うけとロッカー」

引用:西友

SEIYU ドットコムでは、西友元町店でのトライアル結果を踏まえ、今年中のサービス本格開始を計画している。

今後「うけとロッカー」のように、スマートロッカーのサービスが利用される際、顧客が購入する商品は実際の店舗とさほど差はないものと考えられる。しかし最も注目したいポイントは、購入するチャネルが実店舗ではないところにある。

今回の元町店での取り組みについて言えば、受け取り自体は店舗と同じ場所なので、消費者の移動に関する時間的負担は変わらない。

しかし地方のスーパーにおいて、こうしたスマートロッカーのサービス導入を考えると、スーパーを利用するのは地域住民が大半を占める割合が高く、その中でもECサイトでモノを買う習慣がない高齢者も多い。

これまで高齢者の中で当たり前となっている、”店舗でモノを買う”という商習慣をいかに変えることができるか。

既にグループ本家のウォルマートでは導入されている仕組みだが、生鮮食品を扱うネットスーパーでロッカーを活用するのは日本で初めての取り組みである分、どれだけ地元の消費者に利用されるのかは見所である。

スーパーマーケットが持つ地元顧客とコンビニ業界の資本の連携で、地域性が強化されていく

連載の第2回目でコンビニのIT活用事例について触れたが、近年はコンビニ業界とスーパーマーケット業界が手を取り合う動きも加速している。

先月3月末にコンビニ業界最大手のセブングループが大阪でトップシェアを誇るスーパーマーケットである万代と業務提携を発表した。

この提携について、セブングループの最大の狙いは「地域性の強化」と謳っている。

コンビニ業界のメリットとして、地元顧客の取り込みという点以外に、他に地元の食材を使える点がある。

実際、商品に地元の食材を利用し、味付けもその地域の特徴に合わせて販売したところ、商品の売上が伸びた事例もあるそうだ。

逆にスーパーマーケット業界のメリットとしては、コンビニと提携することによってATMなどのサービス提供範囲が広まる点にある。

コンビニ業界の一つの課題として、地域のスーパーを利用するお客様に対して、コンビニエンストアを利用してもらえるかどうかがリピーターを増やす鍵となっているが、こうした業界再編の動きには今後も注目していきたい。

▽関連記事

http://toyokeizai.net/articles/-/63953?page=2

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第2回:コンビニ業界大手3社のビックデータ活用事例まとめ

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